『岸辺のアルバム』『ふぞろいの林檎たち』『想い出づくり』の名匠、鴨下信一の演出技法(全3回その②)

高橋秀樹[放送作家]・水留章[テレビ制作会社 社長]

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(その①はこちら

 

鴨下信一さんに演出論を聞きに行ったのは、メディアゴン主筆、高橋(僕)と友人の水留だ。

 

鴨下さんは2人を目の前にすると間髪入れずに喋り出した。

 

「職業指揮者という人がいるんですよ。そのさきがけは、ハンス・フォン・ビューロー(Hans Guido Freiherr von Bülow)という人なんですが、ドイツの人で、ピアニストでもあったんだけど、ビューローが登場するまで、作曲家と演奏家の分業化は明確でなく、オーケストラの指揮は作曲家自身によることが多かったんです」

 

来た。僕の全く知らない知識である。これが、知識で役者をねじ伏せる演出法か。しかし、ねじ伏せようという感じは全くない。鴨下さんは満面の笑みである。・・・・[続きはコチラ]