『岸辺のアルバム』『ふぞろいの林檎たち』『想い出づくり』の名匠、鴨下信一の演出技法(全3回その③)
高橋秀樹[放送作家]・水留章[テレビ制作会社 社長]
***
(その②はこちら)
メディアゴン主筆の高橋(僕)と友人の水留は、連れ立って演出の秘密を聞き出しに伺っている。鴨下信一さんは演出に必要なのは「解釈と決断」と、おっしゃった。そして…
「ある有名な脚本家に台本をもらいました。夜、電話がなる。海外から。でもそれは変だった。あの緻密な名手にして気づいていなかったんです。時差があるんだなあ」
「ただし、ほかの構成は完璧。こういうときは困ります」
「脚本家は、勢いがあってのって書いているときのホンはわかります。そういう時は小さな問題で止めてはいけない。そこで思考停止になってしまうことがある」
僕が、少ない経験から、言葉を継ぐ。・・・・