<「ヒーロー不在」の平成>映画監督として「描きたい主人公に出会えない」絶望的状況

原一男[ドキュメンタリー映画監督]

 

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1968年の新宿騒乱。その渦中にいて、機動隊に投石ができなかった自分の臆病さ、軟弱さをイヤというほど思い知った私・原一男。その「臆病さ」を克服するには、どうすればいいか? 自分より圧倒的に、精神力に優れていてタフな人に鍛えてもらうしかない!と考えた。

 

全共闘運動はまぎれもなく私に「革命が起きるかもしれない」という幻想をインプットした。ならば、先頭でなくてもいい。お尻の方でもいいから隊列に加わりたい。そのためには、己を強くしなければ。そう、私は強くなりたかったのだ。

 

もうひとつ。若かった自分に言い聞かせたことがあった。・・・・[続きはコチラ]