しばらく奥崎謙三のことは忘れて「市井の人々」に目を向けてみよう。

原一男[ドキュメンタリー映画監督]

 

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狙いに沿って呼びかけを始めた。

 

「あなたの人生でやり残したことありませんか?」 これだけはキチンとやってから逝きたいって思っていることがあれば、私たちと一緒にやってみませんか? と。だが、ことは思惑通りに進まなかった。人口8万人いる市だもの、二人や三人はいるだろ、と思っていたのだが志願する人はゼロだった。ガックリ。こんなにノリの悪いところで“地域活性化”なんて無理だよ、とすっかりむくれてしまった。

 

焦った地元のスタッフたち自身が探そうと動き始めた。その努力の甲斐あって「こんな人がいるんですけど…」と候補の人の情報が集まり始めた。その経過の説明は省略、結果をいうと……。地元に「八幡堀」という時代劇のロケに頻繁に使用されるお堀があるが、そのお堀回りを毎日、365日、一日も欠かさず清掃している人。【続きはコチラ・・・・】