<I AM KENJI>事実が伝わらなくなった時、その事実は歴史から消される…

榛葉健[ テレビプロデューサー/ドキュメンタリー映画監督]

 

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これが事実なら、ただ、祈るしかない。ジャーナリスト後藤健二さんが、残虐極まりない“自称”「国家」に拉致され、亡くなられた。後藤さんと湯川遥菜さんに対する殺害予告が出されて以来、心がざわめきに覆われ、積極的に何かを書く気持ちが持てなくなった。

 

かつてアジアの貧困地区などを回った自分の記憶とも重なり、今も胸苦しい日々が続いている。

 

後藤健二さん。命を懸けて、友人を助けに行った。危険な戦場に入る技量や経験を持っていた。そして何よりも、戦禍にあえぐ民衆の視点から事実を伝える優れたジャーナリストだった。

 

後藤さんのような人がいて初めて、私たちは世界で何が起きているかを知ることが出来る。そして、戦争や貧困、差別、抑圧といった困難な境遇にありながら声を上げられない人たちに代わって、彼らジャーナリストが世界の矛盾を発信してきた。その役割を果たしてきた存在が失われることは、社会全体の損失だ。他人事ではない。【続きはコチラ・・・】