<TBSでドラマ化する「赤めだか」の次?>立川談春の新作落語と「文章修行」の行方に注視

齋藤祐子[神奈川県内公立劇場勤務]

 

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立川談春は能筆の多い立川流の中でもかなり文章の達者な一人である。一作目にして講談社エッセイ賞を受賞した「赤めだか」は、才人・立川談志に、高校中退した若者(談春)が弟子入りしてから二つ目になるまでの修業時代を、「ただこの人のようになりたい」と思い定めた青年の視点から描いて新鮮な面白さがあった。

 

破天荒な師匠とそれをとりまく個性的な人々の間で、泣き笑いしながら成長していく絵にかいたような成長譚と、落語と格闘し続ける傍ら、寄席という落語界のシステムから袂を分かち、新しい教育システムを作りだし、苦労して弟子を育てていく師匠・談志の生き方を活写していた。

 

読者を知らぬ間に引き込む文章の切れに、英語のスラング「shanghai=無理やり連れ去る」を久々に思い出したものだ。通勤電車の中で噴き出しかけて、あわてて周りを見回したことも二度三度あったかと思う。[続きはコチラ・・・]