<ドラマ「Dr.倫太郎」への期待>主人公・堺雅人と蒼井優に課された「禁欲原則」

高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事/社会臨床学会会員]

 

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精神科医の隣接領域にいる者として、日本テレビのドラマ「Dr.倫太郎」をずっと見ている。主人公の日野倫太郎(堺雅人)は、精神科医の中の精神分析家である。病院内では脳科学を信奉し、患者の心に寄り添わないくすりを処方するだけの医師と対立している。

 

心理療法の技法の一つ「精神分析」は科学的証拠がないことが批判されて、本場のイギリス、アメリカでも劣勢である。英米では、分析を受けることは、いまや富裕層の娯楽、ステイタスだと認識されている。宗教であるとする科学者もいる。

 

日本ではこれを生業とする人は30人しかいないともされる。もちろん、健康保険はきかない。土居健郎小此木啓吾岸田秀といった精神分析学者の名を知っている人も多いだろうが、彼らは皆、精神分析家と言うより文筆家として名が高い。【続きはコチラ・・・・】