<みんな慶応?>現代日本の新貴族層を描く「あのこは貴族」 - メディアゴン 編集部

保科省吾[コラムニスト]

 

 

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小説で、しかも女性作家が書いた、女性が主人公のものを読むのは何年ぶりだろう。好きなジャンルではないのだ。おもしろい目に遭ったこともない。思い返せば、群ようこの「かもめ食堂」(2006)以来のようにも思う。

 

11年ぶりに読んだ女性作家が書いた女性が主人公の書名は「あのこは貴族」(山内マリコ・集英社)だ。

 

この小説を紹介するには物語の中心をなす3人の人物設定を紹介するのが最適である。榛原華子・27歳。(おそらく、聖心女子大学卒業)実家は渋谷区松濤。父親は同地でリハビリ施設も併設した整形外科医院の院長。

 

祖父は測量会社を創業。一代で大会社に。長姉・香津子、夫の真は商社マン。息子・晃太は慶應義塾高校生。次姉・麻友子、聖マリアンナ医大卒。赤坂で美容皮膚科医。バツイチ。ほんとうの軽井沢に普通の別荘あり。

 

時岡美紀・32歳。慶應義塾大学入学。地元有数の進学校から同大文学部へ進学したのは彼女と友人のたった2人。実家は(静岡あたりから、在来線で一時間はかかる田舎町)父親はもと漁師。漁師では食っていけなくなったので会社勤めに。【続きはコチラ・・・】