博士号を辞退した夏目漱石の「かわいい過激」

茂木健一郎[脳科学者]

 

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昨日、小森陽一先生(国文学者)と夏目漱石についてお話した。さすがの碩学、いろいろと教えていただくこと、気付きに至ることが多く、たいへん楽しい時間だった。その中で、へえと思ったことがある。

 

漱石が、当時の文部省から博士号の授与の通知を受けて、それを辞退したことは有名な話だ。それで、小森陽一先生によると、文学研究者が長らく博士号をとらなかったのも、漱石先生でさえ博士号をとらなかったのだから、という謙譲の気持ちからだったのだという。

 

時代は流れ、文系でも博士号をとるのが当たり前になり、東京大学教授として小森先生は、

 

「ぼくは、博士号を持たないで、博士号をとる学生の指導をしているのですよ」 と笑っていらしたが、その起源が漱石にあるとは、思い至らなかった。【続きはコチラ・・・】