2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧

<NHKが放送する番組宣伝はCM?>番組宣伝「番組」は不快を超えた視聴者への背信

保科省吾[コラムニスト] *** NHKの「番組と番組の間に入る自局番組の番組宣伝」はコマーシャルではないのか? 放送法を読むと、「NHKはCMを流してはいけない」と定めてあります。この法の趣旨は、民間企業や組織からの金銭の授受を禁止する為のものです…

<日本の宅配便サービスの凄さ>宅配便という物流産業は今や「大きなメディア」のひとつ

水留章[テレビ制作会社 社長] *** 先日、見た宅配便に関する新聞記事によれば、大手宅配会社が宅配便に関して、もっとサービスの充実を考えているという。 「ラストワンマイル」という発想で、さらにきめ細やかなサービスを模索しているそうだ。ユーザ…

<バラエティ番組のテロップは誰のため?>テレビのテロップ過剰が若者の「聞く力」を奪う

黒田麻衣子[徳島テレビ祭スタッフ] *** 前回の記事で、若者のコミュニケーション手段の変化について、「文字言語への依存が高まっている」と書いた。 筆者は、このことと「テレビのテロップ」は無関係ではないと考える。この20年で「テレビのテロップ」…

<決定版・欽ちゃんインタビュー>萩本欽一の財産⑤ボケとツッコミではない 「コント55号」は“振り こなし 受け”

高橋秀樹[放送作家] *** (「萩本欽一インタビュー」その④はこちら) 「コント55号の話を聞かせて下さい」 「“ボケとツッコミ”って言うでしょ。あれはコントじゃなく漫才。漫才の人はボケの人が面白いことをやって、それを突っ込にの人が止める、その繰…

<変化するテレビの行く末>テレビは東映や日活や松竹や大映や東宝と同じ道を歩むのか?

吉川圭三[ドワンゴ 会長室・エグゼクティブ・プロデューサー] *** 友人と中華料理屋で、こんな話をした。日本映画の近年の栄枯盛衰の話である。筆者は映画関係者でないからこういう話が無責任に出来るのだろう。 「東映」と言えばかつて堂々たる時代劇…

<自閉症をテーマにした映画への危惧>映画『シンプル・シモン』はアスペルガー症候群の一例にすぎない

高橋秀樹[放送作家/東京自閉症協会・日本自閉症スペクトラム学会・日本社会臨床学会各会員] *** アスペルガー症候群の青年を主人公にした映画『シンプルシモン』。この映画は良く出来ている。しかしながらその反面、こうした映画を観るたびに、筆者は…

NHKドラマ「ロング・グッドバイ」はアメリカ原作のストーリーと核心を残しつつ日本化に成功した好例

水戸重之[弁護士/吉本興業(株)監査役/湘南ベルマーレ取締役] *** 前回の記事で、アメリカの原作を日本版としたNHKドラマ「ロング・グッドバイ」のローカライズの正しさについて書いた。 「ロング・グッドバイ」は、ロバート・アルトマン監督、エリオ…

<音声から文字へ変化する若者のコミュニケーション>口ベタな高校生もSNSを利用した文字言語での議論では饒舌

黒田麻衣子[徳島テレビ祭スタッフ] *** 何を隠そう、筆者は現役の国語教師でもある。(厳密に言えば、県立高校は退職しているので正職員としての「教師」ではないが、心は今以て「高校教師」のままであり、今も生徒を指導しているので、敢えて教師を名…

<決定版・欽ちゃんインタビュー>萩本欽一の財産④素人をプロの芸人のようにおもしろくする方法

高橋秀樹[放送作家] *** (「萩本欽一インタビュー」その③はこちら) 素人は、ある一瞬だけプロの域を越える笑いを生むことがあるそうだ。それが大将(萩本欽一)の持論である。ただし、放っておいたのでは駄目だ。それは、大将のようなプロに引き出さ…

<川上量生氏が生み出す「ドワンゴの流儀」>独自の「おもしろいこと」を見つけて素早く静かに実行

吉川圭三[ドワンゴ 会長室・エグゼクティブ・プロデューサー] *** 筆者は大学時代は映画製作にのめり込み、その後、テレビ局に潜り込み、ドラマとワイドショー以外のあらゆるジャンルの番組を制作し、スタジオジブリの映画製作過程を横目で見つつ、本を…

<自分の学校とろう学校の違いは「牛乳瓶のキャップ」?>大人が期待した答えを出さない子どもの純粋を大事に

今村彩子[映像作家] *** 私は、ドキュメンタリー映画を撮っています。生まれつきの重度難聴で、補聴器を外すと全く音が聞こえません。 去年の12月に名古屋市内にある小学校を訪れ、1年から6年までの200人の子どもたちの前でお話しさせてもらいました。…

<新幹線50周年・東京五輪50周年に想う>「周年」というのは何のためにあるのか?

水留章[テレビ制作会社 社長] *** 「今年の10月は新幹線が満50歳になり、昭和39年の東京五輪から50周年だ」 50歳と言えば、普通の日本人は「人生も半分以上過ぎた、後同じだけは生きられない」と思う。その位50年は長い長い月日だ。10月1日前後は新幹線…

<NHK朝ドラマが好調な秘訣は「制作局交代制>地方局がもっと番組を作ることがテレビを面白くする

影山貴彦[同志社女子大学 教授/元・毎日放送 プロデューサー] *** NHK朝の連続テレビ小説「マッサン」が始まって一週間。 面白い。ドラマに限らず、どんなテレビ番組も「3回観てから」評することを心がけているものだが、もう既に初回からぐいっと心を…

<感動の押し売り?>音楽番組に「観客の顔のドアップ」も「聞いている芸能人の顔」もいらない

黒田麻衣子[徳島テレビ祭スタッフ] *** 観客を入れた音楽番組は多い。 「幕張メッセから生放送です」などという作りの番組は、なかなかライブに足を運べない田舎住まいの視聴者にとっては、ライブの臨場感を堪能できて、楽しいし嬉しい。お客さんに囲ま…

<決定版・欽ちゃんインタビュー>萩本欽一の財産③僕は司会が苦手です。

高橋秀樹[放送作家] *** (「萩本欽一インタビュー」その②はこちら) 6年間の雌伏時代を経て。大将(萩本欽一)は昭和41年に5歳年上の二郎さん(坂上二郎)と「コント55号」を結成する。大将25歳、二郎さん30歳の時である。 この不世出のコンビは、日劇…

『岸辺のアルバム』『ふぞろいの林檎たち』『想い出づくり』の名匠、鴨下信一の演出技法(全3回その③)

高橋秀樹[放送作家]・水留章[テレビ制作会社 社長] *** (その②はこちら) メディアゴン主筆の高橋(僕)と友人の水留は、連れ立って演出の秘密を聞き出しに伺っている。鴨下信一さんは演出に必要なのは「解釈と決断」と、おっしゃった。そして… 「あ…

<米原作をいかに日本に置き換えるか?>浅野忠信主演のNHKドラマ「ロング・グッドバイ」のローカライズの正しさ

水戸重之[弁護士/吉本興業(株)監査役/湘南ベルマーレ取締役] *** 待望の、と言わせていただきたい。NHK土曜ドラマ「ロング・グッドバイ」のDVDが発売された。 2014年4月から5回に亘り放送されたもの。レイモンド・チャンドラーの小説「The Long Goodb…

<アニメ「銀河鉄道の夜」の音楽>胎児がお母さんのお腹の中で聞いている心臓の音を列車の音に

岩崎未都里[ブロガー] *** 映画は絵と音と時間で構成される総合芸術なので、音はとても重要な役割を持ってます。 幼少期に両親と観た「アマデウス(ミロス・フォアマン監督・1984)」の音楽が心地よかったことや、「トップガン(トニー・スコット監督・…

ドキュメンタリー映画とは「相手に撮らせてもらう」のか?「相手を撮ってあげる」のか?

原一男[ドキュメンタリー映画監督] *** (本連載のこれまでの記事はこちら) ドキュメンタリー映画監督・小川紳介(1935〜1992)率いる小川プロダクションの「作品を作る態度」「覚悟」「美学」といったことに触れておきたい。 三里塚シリーズを6本作り…

<新生!KADOKAWA・DWANGOに行ってみた>伝統を重んじながらも肌で感じる正義感とスピード感

メディアゴン編集部 *** 10月の或る日、メディアゴン編集部の主筆・高橋と、チーフエディターの藤本は連れ立ってニコニコ動画、ニコニコ生放送などでおなじみのドワンゴ社を尋ねた。目的はメディアゴンとドワンゴがコラボして何か面白いことが出来ないか…

<10月5日・緒形拳氏七回忌に想う>俳優が「セリフを入れる」ということの秘密

貴島誠一郎[TBSテレビ制作局担当局長/ドラマプロデューサー] *** 自分は役者ではありませんから、あくまでも役者さんに近いところにいる傍観者としての考えです。 役者さんが「セリフを入れる」ところを見たことがありません。役者さん同士でも、あま…

<「リア充」アピールと同根?>「テレビみませんから」発言にイラッとくる人へ

岩崎未都里[ブロガー] *** 「テレビみませんから」と言われると、筆者は正直イラッとしてしまいます。 この感覚は、「テレビ好きな筆者」のような人だけかと思いきや、周囲の友人達へも聞いたところ「テレビみませんから」は、結構皆さんもイラッとする…

『岸辺のアルバム』『ふぞろいの林檎たち』『想い出づくり』の名匠、鴨下信一の演出技法(全3回その②)

高橋秀樹[放送作家]・水留章[テレビ制作会社 社長] *** (その①はこちら) 鴨下信一さんに演出論を聞きに行ったのは、メディアゴン主筆、高橋(僕)と友人の水留だ。 鴨下さんは2人を目の前にすると間髪入れずに喋り出した。 「職業指揮者という人がい…

<決定版・欽ちゃんインタビュー>萩本欽一の財産②台本に台詞を書いてはいけない

高橋秀樹[放送作家] *** (「萩本欽一インタビュー」その①はこちら) 大将(萩本欽一)はテレビで大事なのは”遠い”こと、だと言う。どういうことだろう。 「テレビでは“近い”と”早い”は、失敗する」 「例えば『お前ね、ダメだよ』と、いうセリフ、『お…

<ドラマ「若者たち2014」を分析する>かつての「若者たち」から今の「若者たち」に投げられた「未来へのボール」

水戸重之[弁護士/吉本興業(株)監査役/湘南ベルマーレ取締役] *** ドラマの改変期の秋であるが、新ドラマの前に、以前の記事でとりあげたフジテレビ開局55周年記念番組「若者たち2014」を振り返っておきたい。 昭和の雰囲気漂う東京下町の、貧しい5人…

<「旅と料理」の番組をどう作るか>レポーターが実食せずに「美味しさ」を伝える工夫

高橋正嘉[TBS「時事放談」プロデューサー] *** 「旅と料理」の番組は今やテレビの王道といっても良いほど増えた。地上波放送でもBS放送でも、あるいはニュース番組の中でも頻繁に取り上げられる。見る側とすれば気楽に見ることが出来、情報も適度にあり…

『岸辺のアルバム』『ふぞろいの林檎たち』『想い出づくり』の名匠、鴨下信一の演出技法(全3回その①)

水留章[テレビ制作会社 社長] [註:メディアゴン主筆・高橋]かねてから、鴨下信一さんの事に大変興味があった。演出家としての力量実績は言うまでもないが、彼の希代の文章家としての才能にも、同じ書き手として大変畏敬の念を抱いていた。面識もなく恐…

<決定版・欽ちゃんインタビュー>萩本欽一の財産①テレビで大事なのは“遠い”こと

高橋秀樹[放送作家] ※このインタビューを故・常田久仁子さんに捧げます。 *** 「お前インタビュー下手だな」 4時間に渡る第一回目のインタビューを終えた時に大将「萩本欽一」にそう声をかけられた。 「きょう喋ったことは、全部どっかで喋ってるぞ」 …

<メディアを制する自治体は市民サービスも向上>我孫子市がシティセールス部門長に元アナウンサー起用

水野ゆうき[千葉県我孫子市議] *** 全国の各自治体が「シティプロモーション」に躍起となっている。 一番わかりやすい「ゆるキャラ」に至っては、2013年「ゆるキャラグランプリ」で1245体もの「ご当地ゆるキャラ」がエントリーしていることからもその過…

<テレビ報道は野次馬ではない>御嶽山噴火の火砕流を「見事に」と表現した無神経さ

榛葉健[ テレビプロデューサー/ドキュメンタリー映画監督] *** この度の御嶽山の突然の噴火。 紅葉の見ごろに合わせて行楽に来た山好きの人たちにとっては、 全く予想もしない事態だったことと思う。筆者は、これまで世界最高峰チョモランマなどの山岳…